学園(吟)
「と、と、と、とりあえず、冷静になろう」

「お前が一番慌ててるアル」

落ち着かせようとしても、頭に血が上っていて上手い事いかない。

「私も風呂に入るアル、少し端に寄るアル」

吟ねえが風呂の蓋をとって、開いたスペースに無理矢理入る。

まるで、子供みたいな感じだ。

「うひゃあ!」

一応、端によれば肌と肌の密着は防ぐことが出来る。

今の俺は触れただけでもアウトだ。

諸君、どうアウトかぐらいは察してくれ。

BIN・KAN・ルージュもいいところだぜ。

多分、上がろうとしても、肩を押さえつけられるのがオチだ。

長く入ってないけども、この調子じゃすぐにのぼせてしまいそうだな。

あまり隣を見ないようにしよう。

「ぎ、吟ネエ、いきなりどうしたんだよ?いつもは一人で入ってたじゃないか」

「好きな時に入れるというのが風呂の良い所アル」

「質問の答えになってないよ」

「こだわる奴アルな。たまには従弟仲良く、裸の付き合いも必要アル」

まさか、これを狙っていたとか?

しかし、しばらくは無言の時が続いた。

「私の事、そんなに気になるアルか?」

突然、吟ネエは電動コケシを弄りながら、狼狽する質問を投げかけてくる。

まさか、バレてらっしゃる?

逃げ場がないんなら、正直な気持ちを言おう。

「気になるよ」

口から心臓が飛び出そうなくらいだった。

「お前は本当に変わってるアル」

「しょうがないじゃないか。それが素直な気持ちなんだからさ」

吟ネエの体を見ないように、天井を向いたまま答える。

「今日さ、バッジのことがすごく気になったんだ」

聞けるチャンスだと思い、踏み切ってみる。
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