学園(吟)
そういえば、明日までの課題がまだ終わっていない。

吟ネエが帰ってくるまでに終わらせたほうがいいだろう。

吟ネエのことを探しに行って、見つからなかったら時間の無駄でしかないしな。

今日中に課題が出来なければ、龍先輩に嘘を言った事になる。

昨晩だけで2ページ進んだんだ。

一日あれば、4ページくらい終わらせるのも可能だ。

渚さんの負担を減らすために、食べ終えた皿を洗って片す。

数分後に二階に上がって、吟ネエの部屋の前で止まる。

「吟ネエ」

今日に限っていないんだよな。

課題なんかなければ、時間の無駄でも探すんだけどな。

会ってリストバンドを渡したい。

凄い反応をしないのは解ってるけど、ちょっとした変化でもいいから見てみたいんだ。

喜ばないかもしれないけど、渡すことに意味があるとは思わないか?

変な物じゃないから、跳ね除けることはしないはずだよな。

「今は課題をしないとな」

夢を見てしまってから、吟ネエの顔が頭の中から離れない。

果たして、たった4ページを終わらせることが出来るのだろうか。

部屋に戻ると、机に向ってペンを取ると、机上での闘いが静かに始まった。

無心、無心、無心、無心。

数分間、心の中で叫びながらペンを進ませるものの、思った以上に効果がない。

余計な声なので、逆に邪魔になっているといってもいい。

「気になるよ!吟ネエのことが気になっちゃうぜ!」

課題は4ページまで進ませる事が出来た。

本当ならば終わっていてもいい頃なのだが進まないんだ。

プレゼントを手にとって見る。

本当に受け取ってくれるのかな?

変化は本当にあるのかな?

今更ながらに不安になってきた。

でも、不安は期待と紙一重で、悪いものではないと思っている。
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