学園(吟)
「はあ」

でも、吟ネエはまだ帰ってこない。

課題は残り2ページ。

集中できなくてもいい。

何が何でも、意地で終わらせてやる。

吟ネエの事は頭にあったけど、地道に問題を解き明かすのと書き写しを終わらせていった。

終わった頃には、頭はパンク寸前だ。

でも、解決したのは課題のみであり、今日のビッグイベントは何一つ終わっちゃいなかった。

時刻は夕方に差しかかろうとしている15時を指している。

随分と時間を食ったものだ。

そろそろ、吟ネエと渚さんが帰ってきてもおかしくはないと思う。

次第に心拍数も上がっていくのがわかっていた。

何でだ?

この一年、いつも一緒にいたじゃないか。

今日になっていきなり鼓動が激しくなるっていうのは不自然だ。

それだけ、意識してしまっているというのか。

少し深呼吸をする。

落ち着けば何ら問題のないことだ。

「よし、強気で行こう」

課題も終わらせたし、今は恐れる物など何もないのだ。

そう思うと、吟ネエの部屋にあるガンナーズ・ヘヴンだって読めるような気がしてきたぞ。

余計な勢いを自分でつけてしまったのかもしれない。

椅子から立ち上がり、粉砕覚悟で吟ネエの部屋に向った。

いないのは解っているけれど、習慣からかノックをしてしまう。

返事がないので、すぐさま扉を開ける。

部屋の中は物でごちゃごちゃとしている。

酒瓶はなくなっているが、今度は脱ぎ散らかした下着と服でいっぱいだ。

一日で部屋に下着が溢れかえるって、吟ネエは何を考えているんだ?
< 5 / 138 >

この作品をシェア

pagetop