学園(吟)
吟ネエの部屋にはベッドと机と本棚と箪笥とクローゼットがある。

本棚には小説などは並んでおらず、漫画と格闘雑誌が詰まっているようだ。

後、ちょこっとファッション雑誌があるのだが、笹原先輩から掻っ攫った物だろう。

漫画は、格闘にスポーツにコメディーにファンタジーとジャンルが豊富である。

恋愛は含まれていない。

しかし、ざっと200以上の本があるって、お金はどうしてるのか。

吟ネエが日中の真面目なバイトをするわけがない。

俺の中には援助交際か風俗かお水しか浮かんでこなかった。

何故なら、体を使う事に関しては、別に苦にはなっていないからだ。

自分も心地よい感覚を味わえて、お金が入れば儲けモノ。

一年前から夜に外出していたのも頷ける。

「くそ」

あまり考えたくはなかった。

苛立ちをどこにもぶつける事が出来ない。

「駄目だ駄目だ」

自分が苛立ったところで、何も変わらないのが現実なんだ。

それに、今日は吟ネエにプレゼントを渡す日じゃないか。

「はあ」

毎回毎回、一つ考えるごとに心臓が悪くなる。

部屋に来た目的は、ガンナーズ・ヘヴンの最新刊を読む事だ。

自分のテンションを下げるために来たんじゃない。

しかし、本を読む事よりも部屋の惨状が気になった。

様々な下着を見ていると、赤白黄色とチューリップの歌が歌いたくなる。

白は可愛らしい感じの下着のようだ。

下着を持って見とれてる場合じゃない。

今は、自分を疑ってくれといわんばかりの状況なんだよ。

「うし、綺麗にしよう」

「いい心がけアルな」

「ハイヤアアアア!」

パンツを持ったまま後ろを向くと、吟ネエがドア付近で不敵な笑みを浮かべながら立っている。
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