学園(吟)
「貢物アルか」

「そうなんだけど」

嫌な言い方だな。

でも、渡せれば呼び方が何であってもいいんだ。

吟ネエは確認を取るわけでもなく、容赦なく袋を開けていく。

「吟ネエ、体とかよく動かすから、これで拭いてくれればいいかなと思ってさ」

取り出したリストバンドをしばらく見つめてから、吟ネエが口を開く。

「これは、ペニ」

「リストバンドだよ」

吟ネエなら言いかねないと思い、途中で言葉を遮った。

「人の発言を遮るとは、アチシに恨みでもあるアルか?」

「あったら渡さないって。まあ、吟ネエの好きなように使ってよ」

「じゃあ、お前のペ」

「それ以外で頼むよ」

「むー、お前はいけずなのじゃ」

時折、龍先輩の真似をするのだが、似てないのでそろそろ止めてもらいたい。

そういえば、プレゼントを渡したのはいいけど、言い訳ばかりしてまだ謝っていなかった。

だから、正直に気持ちを伝えて、許してもらうために頭を下げる。

「それと、勝手に入ってゴメン。本当は吟ネエが帰って来るまでガンナーズ・ヘヴンを読ませてもらおうと思ったんだ」

「下着に興味がなかったと嘘をつくアルか?」

「ええ~」

やっぱり、吟ネエなら男の性を追求する方面にいっちゃうのか。

でも、どう答えようか。

普通に答えたら吟ネエをその気にさせそうだし、嘘を言ったら吟ネエに淡白な男だと思われかねない。

いや、欲求不満のガツガツした男と思われても嫌なんだけど、時と場合を踏まえた真ん中辺りがいいよな。

「吟ネエが、様々な色とジャンルの下着を持ってたなんて知らなかったよ」

何か答えなくてはと思い、口から出たのは微妙な答えだった。
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