学園(吟)
渚さんと別れ、家から出て行く。

夕焼けの日に照らされながら、俺は色々な場所を探した。

近所の公園、学校、商店街、駄菓子屋。

どこにもいない。

通行人にも聞いてみたが、心当たりはないらしい。

「はあ、はあ、どこに行ったんだ?」

俺は走り続ける。

そして、駅前に来たときに、私服の吟ネエの後姿を見つける。

隣に歩いているのは、見知らぬ男だ。

カップルのように歩いており、近寄りがたい雰囲気だ。

でも、ここで立ち止まりたくはなかった。

「吟ネエ!」

「んー、丞アルか」

眠たげな瞳は変わらずに、こちらに振り向く。

隣の男も振り返ると、美形の顔を持っている。

「君が葉桜丞君かい?」

何故か俺の名前を知っているようだ。

「そうですが、あなたは?」

「私は、赤城史郎という」

吟ネエと一緒に歩いていたという事は、何者なのか。

「アチシの初めての男アル」

「え?」

吟ネエがいきなり大胆告白。

俺のハートが震度七で揺れ動く。

「彼が驚いているじゃないか」

「それでも、事実アル」

俺がやろうとしていた事がぶっ飛びそうになる。

しかし、自分を何とか保った。
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