学園(吟)
「愛されとるのう。しかし、悪鬼は気にもかけておらんな」

「それが吟ネエだから、いいんだ」

吟ネエは御菓子を選んでいるようだ。

「吟ネエ、何買うの?」

「酒のツマミアル」

「悪鬼め、酒なんぞマセおってからに」

ばあちゃん、何か吟ネエに恨みでもあるのか。

「なあ、ばあちゃん」

「なんじゃ?」

「なんで、吟ネエが悪鬼なの?」

「悪鬼の去った後には、アンモニア臭が漂うからじゃ」

「いやいやいやいやいやいやいや」

明らかにおかしい事を言ったような気がするぞ。

小便を店前でするわけないだろ。

犬かもしれないじゃないか。

しかも、鬼っていうほど、邪悪でもないし。

でも、掃除する側となれば、営業の邪魔だし鬼なのかもしれないな。

吟ネエも放っておいているし、俺も放置プレイでいくのがいいだろう。

「吟ネエ、がっちゃんイカとか蒲焼五太朗とかどう?」

商品を手にとり、見つめる。

「中々、解ってるアルな。アチシの隣でお酌をする事を許すアル」

「ありがとう、とでもいえばいいのかな」

俺も何か買って行くとしようかな。

駄菓子屋とは関係ないけれど、コーラでいいか。

「ばあちゃん、これ」

俺と吟ネエはばあちゃんにお金を払い、駄菓子屋から離れる。

「アチシにも飲ませるアル」

「帰ったら、お酒を飲むんじゃないのか」

「酷いアル!アチシはコーラが好きなのに、飲ませない丞は本当の悪鬼アル!それに、コーラは別腹アル!」

何ていうか、大げさだな。
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