学園(吟)
俺が吟ネエにコーラを渡すと、予想通りの展開になった。

「吟ネエ、半分以上飲んでるじゃないか」

俺に組み付いて、ゲップを行う。

「コーラ味の吐息で許すアル」

明らかに等価ではないような気がする。

吟ネエが癒されるのならば、別に構わなかったりするんだけれどな。

俺は残りのコーラを飲み干した。

「ふう」

家までは時間がかからなかったものの、日は落ちていた。

家に入ると、再び渚さんの声が聞こえてくる。

「渚さん、一日に何回するんだよ」

「さすが、アチシと同じ血を持つ女アルな」

「何の自慢にもならねえよ」

明らかに、二人目を狙ってやっているに違いない。

後は、好きだからという理由か。

耕一さん、干からびて死ぬんじゃないだろうか。

俺達はキッチンに向かうと、おかずの乗ったお皿にラップがかけられてあった。

渚さんはやる事はやっておいてくれる人だ。

「今日のご飯は、キンピラゴボウにトンカツか」

渚さんはトンカツが得意料理である。

他の料理に比べると、格段に味が違っている。

だからといって、他の料理が不味いかといえばそうではないのだ。

「吟ネエ、食べようか」

「うむ」

お酒の準備は整えて座っていた。

早くお酒が飲みたかったのか、行動が素早い。

「お前はアチシの隣でお酌するアル」

「いいけど、飲みすぎるなよ」

ご飯を盛り付けて、吟ネエの隣に座った。
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