学園(吟)
「男心を掴むには常に相手の心理をつく下着でなければ、勝負に勝てないアル」

「吟ネエが、そんなにも深く考えていたなんて思わなかった」

勝負するから、次に玉を取る男の事をいつも下調べしてるのだろうか。

でも、面倒だし、実は直感かもしれないな。

俺が吟ネエの闇の部分を考えていると、吟ネエはリストバンドをつけ始めた。

予想外に、状況はすんなり進んでしまったようだ。

直感で言うなら、付けていると運動してる人っぽい。

似合うかどうかでいえば、イメージ通りで似合っている。

「やっぱり、似合うな」

「丞は気が利くアルな」

しかし、喜ぶのは一瞬で、リストバンドを見つめて考えている。

「でも、私の誕生日でも、クリスマスでも、天皇誕生日でもないアル。それに、お前は体を求めてくるわけでもないアル。これを渡す理由は何アルか?」

「理由、か」

吟ネエの事が肉体関係などなくても、好きだからだ。

でも、簡単に好きと言って、信じるだろうか。

吟ネエなら勘違いする可能性もあるんだよな。

「吟ネエなら似合うと思ったから買って、付けてるところをどうしても見たかったんだ」

「ふうんアル」

自分が駄目駄目な奴に思えてきた。

好きなら好きっていえばいいのにな。

自分を信じてもらえないことを恐れているのか。

恐れるってことは、それだけ吟ネエに対して慎重に動いてるってことだよな。

もうちょっと自分の信じた事をやる男だと思っていたんだけどな。

でも、プレゼントを渡して好きと言って、お互いがハッピーな気分になるのか?

自分だけが舞い上がっていてはどうしようもない。

吟ネエにこれといった変化はないんだよな。

「リストバンドの代わりにアチシのパンチーを持っていっていいアル」

「は?」

一人の時の実用性はあるけど、変な趣味だと疑われてしまうぞ。
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