紅の系譜
「・・・ねえ、環さん・・・。さっきの男の人、環さんに彼女を盗られたといっていたけど、本当の話なの?」


「わからない。自分としては、まったく覚えがないんだ。さっきの男がいっていた女というのも、名前も知らないし、その・・・接触した覚えもない。」


環さんは知らないことはわからないという。はぐらかすことはあっても、嘘をつくことはなかった。


今の話を聞いていても、環さんにとってみればまったく身に覚えがないとなんだろうというのは、話している雰囲気で伝わってくる。
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