Symphony V
その時、携帯の着信音がけたたましく鳴り響いた。

「Hi」

レオンが携帯に出る。英語で話しているせいもあって、何を話しているのかはよくわからなかった。


あ。携帯。そう言えば…


唯は自分のバッグに入っていた、見知らぬ携帯を取り出した。


これ、結局誰のだろ。


そう思った時だった。携帯がブルブルと震え出す。

「わぁ!」

思わず通話ボタンを押してしまう。


あ、やば。電話とっちゃった…


恐る恐る電話に出てみる。

「もし…もし…?」

緊張した面持ちで電話の向こうに声をかけてみる。

が、反応がない。


「もしもし?この電話の持ち主さんですか?」

知らない人物が出て、相手も驚いているのかも知れない、と、一応聞いてみる。

『東峰唯か?』

まるで、変声機を使っているかのような、機械的な声質。

「…誰?」

聞き返してみるも、返事はない。

「なんのイタズラよ!」

言って切ろうとした瞬間だった。

『お願い!唯だけは助けて!』

電話の向こうから、小さく、聞き覚えのある声がした。
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