Symphony V
そんな…まさか……


懐かしい声。
何度も何度も聞いたあの声は。


「おかあさん!?」

思わず携帯を耳に当てる。


そんな。お母さんは2階で!


『今夜0時、ヒラツカ山に一人でこい』

電話の主は、そう、短く言うと、ブチッと電話が切れた。

「やだ、ちょっと!まっ…お母さん!おかあさん!」

泣き崩れながら、ツーっツーっと電話の切れた音のする携帯に向かって、必死で声をかけた。


だって、あの声は!
お母さんの声だったんだもん!


2階で見た遺体は、実は別の人の遺体で、本当は生きているのかもしれない。



何が真実で、何が嘘なのか。
何もわからない。



だけど。




確かにお母さんの声が聞こえたの。
< 101 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop