Symphony V
「あっ……」
思わず引き止めそうになるのをぐっとこらえて、唯は言葉を飲み込んだ。
だめ。
ちゃんと自分で決めたんだから。
電話の主は一人でこいと言った。
レオンにこのことを話せば、確実についていくと言うだろう。
お父さん、お母さん。
本当は無事でいてくれるのかな。
また、会えるのかな。
こぼれそうになる涙を、唯はごしごしとこする。
まだ泣いちゃだめ。
何も終わってないんだもん。
必死で自分にそう言い聞かせる。
ふと、手に持っていた携帯を見てさっきかかってきた電話の番号が気になった。
前は確か通知不可能だったけど…今回もやっぱりそうなのかな。
唯は着信履歴を見ようと携帯のボタンを押す。
一瞬、赤いマークが見えた後、着信履歴の画面へと移った。
…今のマーク。
あわてて最初の待ち受け画面に戻す。
そして、村儀の言葉が頭の中に甦った。
紅い蜘蛛のマーク。
ターゲット。
自分のカバンの中に入れられていた携帯は、どこかで紅い蜘蛛に入れられていたものだったことに気づいた。
思わず引き止めそうになるのをぐっとこらえて、唯は言葉を飲み込んだ。
だめ。
ちゃんと自分で決めたんだから。
電話の主は一人でこいと言った。
レオンにこのことを話せば、確実についていくと言うだろう。
お父さん、お母さん。
本当は無事でいてくれるのかな。
また、会えるのかな。
こぼれそうになる涙を、唯はごしごしとこする。
まだ泣いちゃだめ。
何も終わってないんだもん。
必死で自分にそう言い聞かせる。
ふと、手に持っていた携帯を見てさっきかかってきた電話の番号が気になった。
前は確か通知不可能だったけど…今回もやっぱりそうなのかな。
唯は着信履歴を見ようと携帯のボタンを押す。
一瞬、赤いマークが見えた後、着信履歴の画面へと移った。
…今のマーク。
あわてて最初の待ち受け画面に戻す。
そして、村儀の言葉が頭の中に甦った。
紅い蜘蛛のマーク。
ターゲット。
自分のカバンの中に入れられていた携帯は、どこかで紅い蜘蛛に入れられていたものだったことに気づいた。