Symphony V
心当たりがどうしても思い出せない。困惑した表情の唯を見て、楽しそうに男は呟いた。
「いいねぇ…その顔。自分には心当たりがない、と?」
言われて答えに困った。
「ない、と思う。けど…」
「けど?」
「…けど、知らないあいだに、やってるのかもしれない」
それを聞いて、男はさらに楽しそうに笑う。
「無意識のうち、といいたいわけだ。ふふ、悔しいかい?腹がたつかい?」
聞かれて唯は少し戸惑った。
あ…れ…?なんか、それは違うような気が…
少し考えて、唯はハッとした。
「ちがう、それよりも…こう…気持ち悪いんだ」
「気持ち悪い?」
「理由がわからないから、気持ち悪いんだ。だって、私に心当たりが思いつかないから」
「ほう…」
「無意識のうちでも、私が酷いことをしたのなら、それはちゃんと謝らなくちゃ。だけど、ほんとに私には関係のないことなら、おとなしく殺されてあげる理由もないもん」
理由があったところて、殺されるのはまっぴらだが、少なくとも、自分の命が狙われる理由は知りたい。
「では、君には時間をあげよう」
「え?」
「猶予は2日。その間に、理由を見つけてみたまえ」
まるでゲームでも楽しむかのような男の声。
「そうだね、僕は君が気に入った。ふふっ、だから君にはヒントをあげよう」
「…ヒント?」
唯はゴクッと唾を飲み込んだ。
「5年前の家族旅行。それを調べてごらん」
「え?」
「振り向いてはいけないよ」
その言葉を最後に、喉に突きつけられていたナイフも、人も、その場から消えていった。
「いいねぇ…その顔。自分には心当たりがない、と?」
言われて答えに困った。
「ない、と思う。けど…」
「けど?」
「…けど、知らないあいだに、やってるのかもしれない」
それを聞いて、男はさらに楽しそうに笑う。
「無意識のうち、といいたいわけだ。ふふ、悔しいかい?腹がたつかい?」
聞かれて唯は少し戸惑った。
あ…れ…?なんか、それは違うような気が…
少し考えて、唯はハッとした。
「ちがう、それよりも…こう…気持ち悪いんだ」
「気持ち悪い?」
「理由がわからないから、気持ち悪いんだ。だって、私に心当たりが思いつかないから」
「ほう…」
「無意識のうちでも、私が酷いことをしたのなら、それはちゃんと謝らなくちゃ。だけど、ほんとに私には関係のないことなら、おとなしく殺されてあげる理由もないもん」
理由があったところて、殺されるのはまっぴらだが、少なくとも、自分の命が狙われる理由は知りたい。
「では、君には時間をあげよう」
「え?」
「猶予は2日。その間に、理由を見つけてみたまえ」
まるでゲームでも楽しむかのような男の声。
「そうだね、僕は君が気に入った。ふふっ、だから君にはヒントをあげよう」
「…ヒント?」
唯はゴクッと唾を飲み込んだ。
「5年前の家族旅行。それを調べてごらん」
「え?」
「振り向いてはいけないよ」
その言葉を最後に、喉に突きつけられていたナイフも、人も、その場から消えていった。