Symphony V
携帯を手に取ると、液晶画面には村儀の名前が出ていた。

「なんの用だろ」

ぽちっと受話ボタンを押して電話に出る。

「はい、もしも」

『貴様、今どこにいる!』

「へ?どこって…」

『こっちではいきなり気づいたらいなくなったと大騒ぎになってるんだぞ!今どこにいる!』

電話越しに怒鳴りつけられて、唯は少し焦る。

「ごっごめんなさい!その…」

『言い訳なんざ興味はない。とっとと家に戻れ!』

村儀は吐き捨てるようにそう言うと、ぶちっと電話が切れた。

「…警察の人に怒られた…」

両親や先生以上の見事なキレっぷりに、唯は少し怖くなった。

「なんでまた」

「…勝手に家から抜け出したから」

唯の言葉に、巧はあきれた。

「おま…そら怒られるって」

はぁ、とため息をつく巧。唯がどうしようかとオロオロしていると、頭をガシガシかきながら、ついてってやるよ、と呟いた。
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