Symphony V
唯は巧の後ろについて歩いていく。
案の定、家の周りには、野次馬や警察官、マスコミの人間でいっぱいだった。

(なんか…お祭りのときみたいだね)

唯がこそっと巧に言うと、巧は笑って頷いた。

(ほんとだな。こんなに人が集まることなんて滅多にねーんじゃねーのか?)

ひそひそと話しながら、2人はどこか入れそうなところがないかと家の周りを歩いてみた。

意外とご近所さんもぱらぱらと集まっていて、唯は見つからないように巧の影に隠れながら歩く。

(おい、あそこ)

巧が細い裏道の方をみて、唯に声をかけた。人が一人通れるかどうかくらいの、かなり細い道。そのせいもあってか、そっちにはマスコミがほとんどいなかった。

(…あそこ、警官が立ってるとこ。あそこから家の中に入れる)

唯がボソッと言うと、巧は頷いた。

(いいか、俺が前を歩くから、お前は後ろに隠れてついてこい)

言われて唯は頷く。

(行くぞ)

言うと、巧は唯の手を握り、すたすたと歩き出した。


え?え??えぇ!?



突然手を握られ、唯は激しく動揺した。

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