Symphony V
警官は、唯の姿を見つけると、驚いた顔をして、そして慌てて中へと促した。

「ありがと、巧くん」

迷惑をかけてしまって、申し訳ない、と、少しすまなそうな顔で謝る唯。巧は笑って首を横にふった。

「あれ?おい、君!」

マスコミの一人が、巧が警官の側で誰かと話しているのに気づき、走ってくる。

「やっべ!」

しまった、と焦る巧。唯も慌てる。

「こい、少年」

「え?」

後ろからにゅっと腕が伸びてくる。と、巧の腕をつかみ、そのまま中へと引っ張り込んだ。

「走れ。顔を見られるな」

そのまま走っていく後姿について、唯と巧は走り出した。
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