Symphony V
そっと人払いをしてくれた、裏の出入口から、2人は急いで出ていった。
いまだに家の周りには人だかりが凄く、見つからないよう、唯達は細心の注意をはらった。

「やっぱ、早めに出といて正解だったな」

巧の自転車を停めてあった場所まできたとき、はぁ、と息をついて言った。

「そうだね。明るくなってたら、きっと、もっと人が増えてるね」

田舎の真夜中とは思えないくらいの人だかりを思い出す。

「ま、とりあえず、俺んち図書館から近いし、開くまで休んでようぜ」

巧の言葉に甘えて、唯はこくんと頷いた。
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