Symphony V
バチっと目が覚めた。


――――夢?


ぱちぱちと瞬きをする。そしてまた、見慣れない天井。


そうだ、確か巧くんの家で、図書館があくまで居させてもらうってことになって。
寝ちゃってたのか。


ふぅ、と寝返りをうった。その瞬間。



「―――――!!!!!!!!!!…いだっ!!」

びっくりして思わず飛び起きた。よそ様の家で、朝っぱらから大声で奇声を発するのはさすがにまずいと、必死でこらえたものの、頭を壁で打ってしまい、声が洩れた。

「ん…唯?…どうしたんだ?」

目をこすりながら、隣で寝ていた巧が体を起こし、不思議そうに唯を見つめた。

「巧?起きたんならさっさとご飯食べちゃいなさい!」

ガチャっと扉が開いた。おばちゃんと目がしっかりとあった。

『……………………』

三人の間に流れる沈黙。唯の顔から血の気が引いた。

「たぁくぅみぃ!」

手に持っていたお玉を、巧めがけて投げつけた。

「いてぇ!」

かぁんといい音が鳴り響き、お玉が命中する。巧は頭をさすりながら、少し涙目でおばちゃんを見た。

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