Symphony V
わぁ…手、おっきい。


綺麗な長い指に、大きな手。思わずおつりをおきながら、ドキッとした。
ふっと男の人の顔をみて、初めて相手が外人だということに気づいた。

「ありがとう」

流暢な日本語。あまりにも綺麗な発音に、自然な言葉遣いだったせいか、唯は相手が日本人ではないということに気づいていなかった。

綺麗な金髪に、薄めの綺麗なスカイブルーの瞳。少しだけほりの深い顔立ちだが、とても整った目鼻立ちで、思わず唯はその人に見とれてしまっていた。

「これ、もらってってもいいかな?」

くすっと笑って聞いてくる。はっと我に返る唯。一気に耳までかぁっと赤くなる。

「あ、すいません!えっと…はい、どうぞ」

慌ててシールを貼って、男の子に渡した。

「Thanks」

にっこりと笑って、男の子は店を後にした。唯はボーっと、その後を目で追っていた。


かっこいい!てか、なんでこんな田舎に、あんなかっこいい人がいるの?


あまりに不自然な状況に、少しだけ首をかしげながらも、引き合わせてくれた神様に、少しだけ、唯は感謝した。
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