Symphony V
レオンに連れられて、唯と巧はホテルの中へと入っていった。

「父さんが、唯に話があるって」

「え?何だろ?」

不思議そうに首を傾げる。が、レオンも詳しくは聞いていないようで、さぁ、と首を横にふった。

エレベーターに乗り、レオンたちの泊まっている部屋のあるフロアまで上る。
扉が開くと、そこにはSPらしき人物が2人立っていた。レオンが何か話しかけると、SPは軽く頭を下げてそのまま3人を見送った。

一番奥の部屋の前で、レオンが立ち止まった。唯と巧もそれに合わせて止まる。
レオンの顔を確認すると、SPが部屋のドアを開けてくれた。

「さ、入れよ」

レオンに言われて、唯は部屋の中へと進む。

「…俺たちは外で待機だ」

「え?ちょ…おい!」

「え?」

振り向くと、扉はそのまま閉ざされた。

「レオン?巧くん?」

唯が慌ててドアの方へと行こうとすると、部屋の奥から声が聞こえてきた。

「唯?どうしたんだい?」

唯は少し戸惑いながらも、部屋の奥へと進んでいった。

「キアリー…」

「よくきたね、唯」

キアリーが優しく唯を抱擁してくる。唯は何がいったいどうなっているのかと、はとが豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
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