Symphony V
「今回、オルトスが日本にきている作品を狙っているって情報を村儀にもらったってのもあって、こっちにきたんだよ」

「…え?も?」

キアリーの言葉が引っかかった。唯に聞かれて、キアリーはふふっと笑った。

「さすがだね。こっちにきたのは、他にも理由があったんだ」

村儀と交換している情報、村儀の追っているのは紅い蜘蛛。

「…紅い蜘蛛の情報?」

キアリーは頷いた。

「紅い蜘蛛に依頼が入ったって情報を入手してね。それもあって、日本にきたんだ」

キアリーの言葉に、唯の心臓がドクンとはねた。

「紅い蜘蛛に依頼がはいったのはわかったんだけど、誰が狙われているのかがまったく手がかりがなくてね。とりあえず、村儀と会って情報交換をしてたところだったんだ。それが…」

キアリーの表情が少し厳しくなる。

「稜夜が、唯のご両親が、なぜ殺されたのか。いったい誰が依頼をしたのか。何より、今回は…ターゲットがまだ、残っている」

また、唯の心臓がドクンと大きくはねた。

「オルトスが現れて、まだ、俺もこっちにしばらく滞在することになった。だからその間、唯の身柄は俺が守ることにした」

「え?」

「村儀に頼まれたんだ。唯を守ってほしいってな」

「村儀さんに…?」

驚く唯。キアリーは苦笑した。

「どうした、そんなに不思議か?」

「え?あ…いえ、そんなわけじゃないけど…」

「これでも現役FBI捜査官だ、信用してくれていい」

笑うキアリーに、唯は少し、複雑そうな表情を浮かべた。
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