Symphony V
「おい、唯!どうしたんだよ」

慌てた様子で、レオンが走ってきた。

「お願い!家まで送ってもらえないかな!」

レオンに懇願する。少し戸惑った表情を浮かべるレオン。

「お願い!」

頭をさげる唯。と、少し離れた場所から声がした。

「唯!忘れ物!」

巧が駆け寄ってくる。

「どこか行くんだろ?」

そう言って、巧は唯にバッグを手渡した。

「ありがとう」

「ほら、なにしてんだよ。どこ行くんだ?」

キョロキョロと辺りを見回す巧みをみて、レオンはわかった、と、車へと向かった。

「ありがとう!レオン!」

思わず後ろから抱きつく唯に、レオンは頭をポンポンと叩いた。

「この借りは高くつくぜ?」

ニヤリと笑うレオンに、唯は一瞬、顔をひきつらせた。

車に乗り込み、3人は唯の家に向かった。
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