Symphony V
黄色い立ち入り禁止のテープをくぐり、家の鍵をあけて中へと入る。

しんっと静まり返った家の中は、まるで知らない場所のように感じられた。

「で?何を探しにきたんだ?」

言われるが、唯は何も答えず、廊下を歩いた。

居間の側にある部屋の中に入る。積み上げられた漫画やCD。そして――――

「あった」

小さなクマのぬいぐるみを手に取る。

「なんだ?それ」

巧がひょいっと顔を覗かせてくる。


…あれ?


急に違和感が唯を襲った。

「これ…は」

言葉につまる。

「唯、今はぬいぐるみよりボイスレコーダーなんじゃねーのか?」

レオンに言われて、唯はあぁ、と頷いた。

「ごめん、このぬいぐるみ、いつも持ってたから」

そう言って、ぬいぐるみをバッグの中に入れた。

「この子がいないと、夜ちゃんと眠れなくって」

あはは、と笑う唯に、レオンは苦笑した。

「ボイスレコーダーはどんなやつなんだ?」

巧に聞かれて、唯は大きさや形、色を伝えた。

「それじゃ手分けして探そう」

レオンの言葉に、唯と巧は頷いた。
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