Symphony V
ゴン!


大きな何かがぶつかったような音が当たりに響いた。


「い……たぁ………」

倒れている人物に気をとられ、目の前にガラスがあることに気づかずそのまま突っ走ったため、思いっきり頭をぶつけた。しかも少しかがむと、通り抜けられる造りになっているようで、思い切り走りこんだ唯は、体を少し宙に浮かせて転び、思い切り背中を打った。

目から涙がこぼれてきた。


い、痛すぎる……


何とか痛みをこらえながら、唯は体を起こした。
と、レオンのそばに、誰かが立っているのに気づいた。

眉を顰める唯。
と、その時。
目の前の人物の手元が、チカっと光ったように見えた。

「だめっ!!」

手に持っているものが何かが認識できた瞬間、唯は慌ててその人物めがけて体当たりをした。

どさっとそのままレオンの上に覆いかぶさるように倒れこむ唯。

「うっ……」

レオンのうめき声がした。

「レオン!?レオン!大丈夫!?」

ぺちぺちとレオンの頬を軽く叩く。
するとレオンは目を覚まして唯の方を見た。

「…何やってんの?」

不思議そうに唯を見るレオン。自分がレオンに馬乗り状態になっていることに気づいて、慌てて飛びのいた。
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