Symphony V
たたたたたた……


誰もいないはずの遊園地から聞こえてくる足音に、唯とレオンは振り返る。


……誰も、いない。


怖くなって、思わずレオンのそばに体を寄せる。レオンはそっと、唯の肩を抱いて、自分の方へと寄せた。


たたたたたたたた………


また、聞こえた。


ごくりとつばを飲み込む。鼓動がどんどんと早くなった。

「誰!?」

唯が叫ぶ。あたりに唯の言葉がこだました。
だが、返事はない。

「唯、出口はどこかわかるか?」

耳元でレオンが囁く。唯は黙って頷いた。

「合図したら走るんだ。いいな?」

小さく頷く。


たたたたたたたたたたたた……


「行くぞ!」

3度目。
また、誰かが走る音が聞こえた。
その瞬間、レオンが叫んだ。
唯はその声にあわせて走り出した。
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