Symphony V
「どうしたの?」

不思議そうに唯は聞いた。
驚きと戸惑い。
レオンの表情に唯は眉をひそめ、そっと肩越しにレオンの視線の先を見つめた。


―――――!!!!!!!


息ができなかった。
まるで心臓をぎゅっと鷲掴みにされたように、胸が苦しくなった。

「やぁ、唯」

まるでその声に引き寄せられるかのように、唯は声の主の方へと近づく。

「唯!こいつは稜夜じゃない!」

レオンに腕を捕まれてはっと我に返る。

「でも……」

目の前の人物はどこからどう見ても死んだはずの稜夜そっくりだった。

「唯、おいで」

顔も声も。何もかもが稜夜そのものだった。
困惑する唯の腕を半ば強引に引き寄せるレオン。
その姿を見て稜夜はくくっと笑った。

「信じてくれないの?」

稜夜の言葉がのしかかる。


違う、信じてないわけじゃない。



自分の脳は目の前の相手は稜夜だと、そう思っている。
けれど、レオンは違うという。




どっちがほんとなの?




「お前、誰だよ」

レオンはキッと稜夜そっくりの人物を睨みながら言った。
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