Symphony V

Trio

唯は村儀に連絡をして、遊園地にいることを告げた。ホテルの空き部屋で、巧が倒れているのを発見されたため、2人の行方を探していたらしい。

到着までは1時間ほどかかるとのことで、唯とレオンは廃墟と化した遊園地の中を探索していた。

「なぁ、唯、記憶、どこまで取り戻したんだ?」

聞かれて唯は首をふった。

「私、結構思い出したと思ってたんだけど…ぜんぜんだったみたい」

5年前の記憶だと思っていたものが、実は10年前の記憶だった。曖昧どころか、どこからどこまでが本当にあった出来事なのか、信憑性が薄くなっていく。

「ま、そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?記憶が曖昧だからって、今までに不便を感じたことなないんだろ?」

レオンの言葉に少し複雑そうな顔をする唯。

「それにしてもここ、すごいな。かくれんぼとかしたら楽しそうじゃねーか?」

レオンの言葉に、唯は笑った。


唯ちゃんみーっけ!


誰かの声がした気がした。
立ち止まる唯。


お母さんも一緒にやろうよ!かくれんぼ!

やろうやろう!それじゃ、今度は唯が探すね!


遠い記憶。
これは―――――……
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