Symphony V
「おい!」

呼ばれて振り返る。
光が目に入り、唯は顔を背けた。


まぶし……


白いライト。
大きなブレーキの音。
誰かに押された背中。


『あんたなんか死んじゃえ!』


敵意に満ちた言葉。
それは、自分に向けられて発せられた言葉。

背中を、押される瞬間に聞いた。

少女の声。
少しだけ、どこか懐かしい。
でも、苦手だった声。


「どうした?唯」

レオンの声に、我に返る唯。目の前には、村儀と佐藤の姿があった。

「それで…何か収穫でもあったのか?」

村儀に聞かれて、唯は首を横にふった。

「収穫ってほどじゃないです。少し、記憶が戻っただけというか…」

唯の言葉に、村儀は頷いた。

「思い出した記憶に何か手がかりがあるかも知れない。十分な収穫だろう」

村儀に言われて、唯はそうかな?と首をかしげた。
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