Symphony V
愕然とする村儀。唯は首を傾げる。
「どうか…したんですか?」
聞くと村儀がギロリと佐藤の方を見た。佐藤はあわてて、持っていた手帳をめくっている。
「…村さん、やっぱりおかしいです」
佐藤の言葉に、村儀は頷いた。
「東峰、本当にそれは、確かなのか?」
聞かれて少し困った顔をする。
「たぶん。確かだと思う。お父さんとお母さんと3人でゆかりさんを探して、結局見つからなくって、翌日、3人でホテルをチェックアウトした後、街を少し観光してて、その時、交差点で、誰かに背中を押されて…私、事故にあってるから」
村儀は黙ったまま、腕を組んで何かを考え込んでいる。
「…5年前、当時その事件の担当刑事から引き継いだ資料の中に、ホテルの宿泊者名簿もあった。だが、その中に、東峰一家の宿泊記録は残っていない」
村儀の言葉に唯は首をふった。
「だって…そんなはずない!私、確かにその時、先輩に会ってるんだもん!」
思い出した記憶。
だけど、当時の記録と、食い違いを見せるその記憶に、唯は戸惑った。
思わず手に持っていたバッグを地面に落とす。
「あっ…」
その時、バッグの中から、1体のくまのぬいぐるみが出てきた。
「…やっぱり、私の記憶は間違ってない!だって、このぬいぐるみを、先輩にもらったんだもん!」
唯はぬいぐるみを拾い上げると、村儀と佐藤に突きつけた。
「どうか…したんですか?」
聞くと村儀がギロリと佐藤の方を見た。佐藤はあわてて、持っていた手帳をめくっている。
「…村さん、やっぱりおかしいです」
佐藤の言葉に、村儀は頷いた。
「東峰、本当にそれは、確かなのか?」
聞かれて少し困った顔をする。
「たぶん。確かだと思う。お父さんとお母さんと3人でゆかりさんを探して、結局見つからなくって、翌日、3人でホテルをチェックアウトした後、街を少し観光してて、その時、交差点で、誰かに背中を押されて…私、事故にあってるから」
村儀は黙ったまま、腕を組んで何かを考え込んでいる。
「…5年前、当時その事件の担当刑事から引き継いだ資料の中に、ホテルの宿泊者名簿もあった。だが、その中に、東峰一家の宿泊記録は残っていない」
村儀の言葉に唯は首をふった。
「だって…そんなはずない!私、確かにその時、先輩に会ってるんだもん!」
思い出した記憶。
だけど、当時の記録と、食い違いを見せるその記憶に、唯は戸惑った。
思わず手に持っていたバッグを地面に落とす。
「あっ…」
その時、バッグの中から、1体のくまのぬいぐるみが出てきた。
「…やっぱり、私の記憶は間違ってない!だって、このぬいぐるみを、先輩にもらったんだもん!」
唯はぬいぐるみを拾い上げると、村儀と佐藤に突きつけた。