Symphony V
「あ、それ…唯の家に置いてあったやつだよな?って、そういえば、ボイスレコーダー探してたんじゃなかったか?」

レオンに言われて、唯は頷いた。

「これがそうなの」

唯は、くまの着ているベストを脱がせると、ベリッと毛の部分をめくった。めくるとそこには、ボタンが3つついていて、そのうちの1つのボタンを押した。

『唯ちゃん、ぼくのお嫁さんになってね!……うん!』

男の子と女の子の声。レオンが目を丸くする。

「これ、稜夜の声じゃねーか!」

唯が頷いた。

「うん、そう。返事をしてるのは私。これ、先輩にもらった時に録音してあったの」

そう言って、唯はぬいぐるみをじっと見つめた。

そして、もう1つのボタンを押す。

『唯ちゃんへ。大きくなったら、必ず迎えに行くからね。それまでこの子を大事にしててね?』

稜夜から唯へのメッセージだ。


そして、唯は、最後のボタンを押した。
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