Symphony V
『真相にたどり着けたかい?タイムリミットは後1日だよ』

目を大きく見開く唯。

「おい、今のはなんだ?」

聞かれて唯は、ごくりと唾を飲み込んだ。

「…たぶん、蜘蛛」

「なんっ!?」

「けど、この声は…先輩の声にそっくり…」


何がどうなってるっていうの?



稜夜の声。
だけど、内容は明らかにヒラツカ山で蜘蛛と話したことをさしている。


混乱する頭の中を、必死になって整理する。

が。



だめ、なにも繋がらない。



言われて調べていってわかったことは、唯は稜夜と顔見知りだったこと。

ゆかりを両親と探していたこと。

事故にあったこと。


そして、10年前が、初めて稜夜と出会ったときということ。

…5年前だけじゃなかった。


けど、それがなんだっていうの?


稜夜にとの出会いが10年前だとしても。お互い、しょっちゅうどころか、たまにすら会っていない。

たまに…そういえば、葵先輩は、銃を向けるとき、何て言ってた…?


『いつも私の欲しいものを…』


いつも?1度や2度の出来事を、いつもとは言わない。


それ以上…?


だけど、まゆとの面識など、学校の先輩・後輩程度のものだ。


…嫌われていることはわかってたけど、思えば、会ったこともなかったはずなのに、彼女は敵意を剥き出しにして、そして攻撃してきた。

そんなやつもいるさ、と、あの頃は思ってたけど。
…本当に、理由はなかったのか?



繋ぐ線はみつからず、繋がりを待つ点だけが増えていった。
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