Symphony V
『昔っからあんたは私の邪魔ばっかりするのよ!』


初めて会ったときから、まゆは唯を目の敵にしていた。

まゆの言葉。



私は一体、いつ、葵先輩に会ったの?



『いつも私の欲しいものを全部あんたは奪っていく!』




まゆのものをなにか横取りした記憶なんてない。
第一、まゆとの接点があまりにも無さすぎる。
思いつくものなんて、何も無かった。




『どうしてゆいを渡さなくちゃいけないの!』

『仕方が無いだろう!…全ては……』



男の人と女の人の言い争う声。
――――私、どこでかで聞いた?


『まゆちゃんはお姉ちゃんなんだから、我慢しなくちゃ。ね?』

『まゆちゃんにあげる。ゆいはなくても大丈夫だから』

『まぁ!ゆいちゃんはえらいわねぇ。お姉ちゃんにあげていいの?』

『うん!ゆいはまゆちゃんのこと好きだから!』



1人のおばさんに2人の少女。
片手にはくまのぬいぐるみを持っている。

たぶん、それは私。




これ…いつの記憶?
まゆは…お姉ちゃんなの――――?
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