Symphony V
「どうしてその事を、事件当時に言わなかったんですか!」

佐藤が雅子を睨み付けながら言う。雅子は深呼吸を一つして答えた。

「言えなかったのよ」

「どうして!?まゆさんが、あなたたちに口止めでもしたっていうんですか?ふざけないでくださいよ!もし本当にそうだとしても、彼女はあなたたちの子供なんだから、ちゃんと」

「それじゃ貴女なら警察に真実を言えたっていうの!?私達が真実を伝えれば、唯が…!!」

カチッとガラスが何かとぶつかるような音が微かにした。


瞬間。



ガラスが割れて、辺りに飛び散った。雅子は何か衝撃を受けたように体が傾き、床に倒れ込んだ。





真っ赤な血を、辺り一面に飛び散らせて―――……
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