Symphony V
しばらく、緊迫した空気が辺りを包んだ。

数分後、大勢の武装した警官たちに、周囲を固められ、喫茶店から連れ出されていった。

「なになに?なんか撮影?」

一気に野次馬たちでごったがえしになる。唯はパトカーに乗せられた。

「東峰、大丈夫か?」

村儀に声をかけられて、唯はこくんと頷いた。

「さっきのって」

村儀の方をじっと見つめる。まだわからない、と、村儀は口を閉ざした。

「村さん!ありました!」

佐藤が1枚の紙を手に走ってきた。その中身を見た村儀は、思わず紙をぐしゃっと握りつぶした。

「あぁっ!村さん、だめです!」

慌てて取り返す佐藤に、村儀は少しかすれた声で、すまない、と呟いた。

「みんな殺されてく」

唯の言葉に、村儀は顔をしかめた。

「…どういう意味だ」

「そのまんまの意味です。私の周りから、人がいなくなる」

「…そんなこと、させねぇ」

村儀のドスのきいた声に、唯は少しはにかんだ。

「後少し、です」

唯の言葉と表情に、村儀は眉をひそめた。
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