Symphony V
唯は稜夜の父親について調べようと、ホテルのフロントから、ノートパソコンを借りてきた。

「へぇ、最近はそんなサービスがあるのか」

レオンが感心したように言う。

「結構便利だよー」

唯はそういってネットに繋いだ。パチパチっと検索をかける。

「うわぁ…思いの外いっぱい出てきた」

少しため息をつきながらも、キーワードを増やして情報を絞っていく。

「あ、なんか書き込み発見」

無料掲示板のニコチャンネルで、稜輔に関するスレッドを発見した。

「うわぁ…」

中を覗いてみると様々な誹謗中傷で溢れていた。

「なあ、これなんなんだ?」

不思議そうな顔で、画面を見ているレオンに、唯は苦笑しながら教えた。

「うーん…確かに俺は、稜夜の父親は嫌いだが、ネットでそんなことを書き込みあうってどうなんだ?」

理解できない、といった表情のレオンに、唯は笑った。

「最近、多いみたいだよ。こういうの。学校裏サイトっていって、それぞれの学校ごとで、こんなのがあったりもするくらいだし」

「…変なことするもんだな。相当暇なのか?」

レオンの反応に、唯は笑った。

「変だと思うのが普通なんだろうけど…最近じゃ、こういうところでの書き込みが原因で、いじめや殺人なんかが起こってるんだ」

唯の言葉に、レオンは絶句した。

「まぁ、そんなことより、今はまず、先輩のお父さんのことを…」

中を見ている途中で、唯はひとつの書き込みで目が止まった。
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