Symphony V
「うーん…なんかどれもゴシップっぽいっていうか、信憑性が薄いっていうか…」

まともなどこかの新聞記事だとかっていうものならまだしも、どれもこれもすべて掲示板に書かれているネタばかりだった。

が、唯はあることに気付く。

「あれ?これ…」

掲示板の日付が、ちょうど今から18年前の日付のもの。
内容は、3歳になる息子が行方不明になったという内容のものだった。

「…ちょっとまって。18年前で3歳になるって…計算合わなくない?」

唯が言うと、レオンも目を丸くした。

「稜夜は今年18になった。18年前にすでに歳とってるなんておかしいぜ」

頭の中が混乱してくる。

「なぁ、行方不明になったのが稜夜だとすれば、発見されたって記事もあるんじゃねーか?」

レオンに言われて、唯はすぐに検索をする。

が。


「ない…1件も」

該当するものを片っ端から中身を確認していったが、どれも行方不明になっただの、神隠しにあっただのといった内容のものばかりで、その後、見つかったという記録はどこにもなかった。


どういうこと?
稜夜先輩は18年前に神隠しにあったんじゃないの?
じゃあ一体、神隠しにあったのは一体誰?

高遠の息子って一体、誰のことを言ってるの…?


暗闇の中をひたすらに走り続けている気分だった。
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