Symphony V
ホテルを出てから約30分。
幸い、稜輔は自宅にいたため、思っていたよりすぐに会うことができた。

「…君が佐藤くんですか？」

想像していたような表情とは違い、とても穏やかな笑顔で、稜輔は佐藤、唯、レオンの３人を出迎えた。

「すみません、お忙しいところ」

「えぇ本当に。いい迷惑ですよ」

「え？」

その表情とは裏腹に、稜輔の言葉は冷たいものだった。

「一体何をどうやったのかは知りませんが…今回限りです。時間は30分。それ以上は何もお話しすることはありません」

稜輔の言葉に、佐藤が凍りついた。

「…おじさん、お久しぶりです」

レオンが話しかけると、稜輔は目を大きく見開いて、レオンの肩をポンポンっと叩いた。

「レオン君じゃないか！久しぶりだね。元気そうで何よりだ」

「どうも。この度は…その…」

言いづらそうに口ごもるレオンに、稜輔は笑って首をふった。

「気にすることはない。あれも最後に、友達に会えたんだ。よかったよ」

ふっと稜輔は笑った。
唯はその笑顔に、なぜか寒気を感じた。
< 214 / 247 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop