Symphony V
「本当にもう大丈夫か?」

あれから数日がたった。

無事に唯も退院し、色々な対応に追われバタバタとしていたが、皆の協力のお陰で、なんとか一段落した。

予想されていたマスコミの報道も誰かが手を回してくれたらしく、あまり過熱せずにすんだ。


「無事にお父さんとお母さんのお葬式もできたし。もう大丈夫」

にっこりと笑う唯に、レオンはそうか、と頷いた。

「ごめんね、予定してた滞在予定日から大幅にオーバーさせちゃって…」

これから唯がどうするか、住むところや、遺産相続の件など、面倒な手続きなどもレオンたちが一緒に手伝ってくれていた。

「気にしなくていい。そんなことより、本当に…いいのか?」

少し寂しそうな顔をするレオンに唯は頷いた。

「レオンやキアリーの提案はほんとに嬉しかったんだけど…こっちに友達や親戚もいるし。やっぱり、ここが好きだから」

少し肩をすくめながら唯が言うと、レオンは優しく、唯を抱き締めた。

「映画なんかでは、こういい場合は、大抵一緒になるんだけどな。やっぱり現実は厳しいな」

レオンの言葉に、唯はクスッと笑った。

「また、必ず会いに行くよ」


唯が言うと、レオンは名残惜しそうに頷き、腕をほどいた。

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