Symphony V
ガリガリっとトーストにバターを塗りこんでいく。起きるのが遅かったせいで、トーストは残念ながら冷めていた。
ま、別に冷めてるからって食べれないわけじゃないしね。
塗りこんだバターの上に、イチゴのジャムを載せて、薄くのばしていった。
かりっと一口食べる。やはり、冷めていても、この組み合わせは最高に美味い。
「はい。牛乳」
母親が私のお気に入りのマグカップをコトッと目の前に置いた。口をもぐもぐとさせながら、ありがとう、という私を、行儀が悪いと笑いながらしかった。
「そうそう、あんたにこれ。なんか届いてたわよ」
置かれた牛乳に手をのばしていると、母親が1枚の封筒を私に手渡してきた。
「まさか…!」
慌てて、ひったくるように、母親から封筒をもらう。
差出人の名前は『キアリー』
思わず歓喜の声をあげ、それと同時にパンを喉に詰まらせて、むせ返った。
「な、どうしたの!」
慌てて母親が私の背中をさすってきた。私は必死で息を整えながら、側に置いてあった牛乳で、何とかパンを押し流していく。
「はぁ…はぁ……死ぬかと思った」
「そんな簡単に死ぬわけないでしょ」
呆れた顔をする母親に、私は真剣な眼差しで答えた。
「いや、マジでマジで。だって…あのキアリーのライブ、当たった!」
封筒から1枚のチケットを取り出して、母親に見せ付ける。
「あぁ、あんたが前から言ってたやつ?」
今ひとつ反応の薄い母親に、少しだけ肩透かしをくらいつつも、私は興奮冷めやらぬといった状態で、チケットが当たった事のすごさを一生懸命説明した。
アメリカで活動している世界的に有名な歌手で、ライブのチケットといえば発売と同時に即完売するほど。しかも、そんな有名な人が、あろうことか、都会とは言えないこの田舎で、ライブをすることになったというのだから驚きだ。そして何より、異例の出来事として、地域住民枠としてチケットが用意されていて、まぁ、それでも相当の倍率となっていたが、なんとその枠でチケットが当選し、さらには最前列が取れたというのだから驚きだ。
「とにかく!これはまさに、奇跡のチケットなのよ!」
チケットを拝むようにして、両手で掲げた。
ま、別に冷めてるからって食べれないわけじゃないしね。
塗りこんだバターの上に、イチゴのジャムを載せて、薄くのばしていった。
かりっと一口食べる。やはり、冷めていても、この組み合わせは最高に美味い。
「はい。牛乳」
母親が私のお気に入りのマグカップをコトッと目の前に置いた。口をもぐもぐとさせながら、ありがとう、という私を、行儀が悪いと笑いながらしかった。
「そうそう、あんたにこれ。なんか届いてたわよ」
置かれた牛乳に手をのばしていると、母親が1枚の封筒を私に手渡してきた。
「まさか…!」
慌てて、ひったくるように、母親から封筒をもらう。
差出人の名前は『キアリー』
思わず歓喜の声をあげ、それと同時にパンを喉に詰まらせて、むせ返った。
「な、どうしたの!」
慌てて母親が私の背中をさすってきた。私は必死で息を整えながら、側に置いてあった牛乳で、何とかパンを押し流していく。
「はぁ…はぁ……死ぬかと思った」
「そんな簡単に死ぬわけないでしょ」
呆れた顔をする母親に、私は真剣な眼差しで答えた。
「いや、マジでマジで。だって…あのキアリーのライブ、当たった!」
封筒から1枚のチケットを取り出して、母親に見せ付ける。
「あぁ、あんたが前から言ってたやつ?」
今ひとつ反応の薄い母親に、少しだけ肩透かしをくらいつつも、私は興奮冷めやらぬといった状態で、チケットが当たった事のすごさを一生懸命説明した。
アメリカで活動している世界的に有名な歌手で、ライブのチケットといえば発売と同時に即完売するほど。しかも、そんな有名な人が、あろうことか、都会とは言えないこの田舎で、ライブをすることになったというのだから驚きだ。そして何より、異例の出来事として、地域住民枠としてチケットが用意されていて、まぁ、それでも相当の倍率となっていたが、なんとその枠でチケットが当選し、さらには最前列が取れたというのだから驚きだ。
「とにかく!これはまさに、奇跡のチケットなのよ!」
チケットを拝むようにして、両手で掲げた。