Symphony V
「最近は、ドラマなんかで色々と情報がでまわっているせいで、余計なことを聞く人が増えて困る」

明らかに面倒くさそうに呟く。

「ま、とにかく、こっちにも色々と事情があるもんでね。とりあえず、こっちにきて、身元の確認をしてくれないか」

そう言うと、後ろにいた女の人が村儀の頭をバシッと叩いた。

「村さん!いつもいつも…その憎まれ口叩くの、いい加減やめてください」

ぎろりとにらみつけると、今度はにっこりと笑って唯達の方を見た。

「ごめんね、この人、口がとーっても悪いの」

「口が悪かろうが仕事にゃ関係ねー。ほら、いくぞ」

村儀はそう言って歩き始める。

「私は佐藤、村さんと同じく、警視庁捜査一課の者です」

こちらへ、と佐藤に案内される。唯とレオンは少し戸惑いながらも後についていく。

階段を下りて廊下を少し進んだ、突き当たりの部屋の前で、村儀が止まった。

「覚悟はいいか?」

村儀の言葉に、唯は無言で頷いた。


稜夜先輩じゃない。
絶対、違う。


そう信じて、部屋の中に入った。
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