Symphony V
村儀が部屋の扉を開ける。中は少しひんやりとしていて、どこか暗い雰囲気をかもし出していた。

単なる先入観によるものかもしれないが、唯は少し、身震いをした。

村儀に続いて佐藤が中に入る。
唯もその後に続いた。


が。


目の前にそれはあった。


白い塊。


薄暗い部屋の中で、それはぽつんと佇んでいた。




違う。
絶対に違う。



自分に言い聞かせるように、頭の中で何度も繰り返す。

「……唯」

後ろから声をかけられてハッとする。

「大丈夫か?無理はするな」

村儀に言われて、唯は首を横にふった。



違う。
絶対に違う。


稜夜先輩じゃないもん。



一歩、前に足を踏み出した。
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