Symphony V
「後は、君の今日の行動を教えてもらおうか」

村儀に聞かれて、唯は眉を顰めた。

「なんでそんなこと話さなくちゃいけないんですか?」

「これも仕事ってやつでね」


まるでドラマの中の話みたい。


はぁ、とため息をつくと、唯は口を開いた。

「昨日、カラオケボックスで寝ちゃったみたいで、レオンの泊まってるホテルに泊めてもらってたみたいで、朝起きたときには、ホテルにいました」

「なんてホテルだ?」

「駅裏にある、グランドホテル。朝起きて、朝食を食べた後、一度家に寄って、着替えてから美術館に行った」

「美術館?」

「今週から1週間だけやる、あのルーヴル美術博」

「あぁ、あれか。で、それは何時ごろだ?」

聞かれて唯は少しあのときのことを思い出してみる。


確か美術館には3時間くらいいたはず。で、ご飯に行くって話しになったのが、13時くらいだったから…


「多分、10時くらいだと思う」

「ずいぶん、朝早くから行動してたんだな」

「それが何か問題でも?」

「いや」

「…その後、なかむらってうどん屋にお昼を食べに行って、その後、電話がかかってきた」

「で、こっちに来たわけだ」

唯はこくんと頷いた。
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