Symphony V
呆けた顔で2人のやり取りを見ている唯に気づいたレオンが、声をかけてきた。

「唯、どうした?」

驚いた表情でレオンが聞くと、唯はハッと我に返り、首をふった。

「いや、少し驚いただけ」

言われてレオンは首を傾げる。

「驚いたって…何に?」

不思議そうな顔をするレオンに、唯はいやいや、と苦笑いを浮かべながら答える。

「キアリーって、ほんとにレオンのお父さん?」

唯に聞かれて、あぁ、とレオンは笑った。

「そうだよ。言ってなかったっけ?」

にこりと笑うレオンに、唯は顔を引きつらせた。

「聞いてない。あれだけキアリーのライブについて話してたのに、何にも言わなかったじゃん」

言うとレオンは不思議そうに聞いてくる。

「必要ないだろ?」

「いや、そうだけど…」


レオンの言うことはごもっとも。


なんですけど。



「恥ずかしいじゃん。息子だって知らずに、父親のことを大絶賛してたなんて」

わからない、といった風にレオンはまた首をかしげた。

「そうかな」

「そうなの」

唯は顔を真っ赤にして、はぁ、とため息をついた。

「そんなに褒めていただけてたなんて、その場に是非いたかったね」

キアリーが口を挟んできて、唯はさらに顔を紅潮させた。

「いい!いなくていいです!」

目に少し涙を溜めながら言う。



あぁ…穴があったら帰りたいよぅ。



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