Symphony V
驚いたような表情を見せるレオンとキアリー。

「今もそうだけど…あの頃はもっと子供だったんだと思う。ほんと、なんであんなに怒ったのか、今にして思えばすっごい不思議なのよね」

中学校に入ってから。少しずつませたことを言うようになって。
生意気な口を叩くようになって。

少しでも背伸びして見せようと悪ぶって見たり。
他の人と違うことをやってみたり。

母の言うことにいちいち反抗して、父の言うことにいちいち口答えして。
毎日喧嘩して、泣いて、怒って。

「あの時も、しばらくお父さんとお母さんと口きかなかったの。多分…1週間位かな」

「そんなに!?」

驚くキアリーに、唯は苦笑いした。

「うん。今じゃ毎日話してるけど、中学生になってしばらくしてからは、結構そういうことが多くって」

これが気に入らない。あれが気に入らない。
何で気に入らないのかはわからない。


ただなんとなく、イライラして。


多分。


ストレスを発散する捌け口を探してたんだと思う。


「でも、どうやって仲直りしたのさ」

不思議そうにレオンに聞かれる。ちょうどそのとき、車のラジオから、キアリーの歌が流れてきた。

「あは、すっごいタイムリー」

流れてきた曲のタイトルは【My Family】
唯が初めて買ってもらったCDの中にも含まれている曲だ。

「お父さんにもらったCD。壁に投げつけて、パッケージが壊れちゃったんだけど、中は無事だったから、そのままコンポに放り込んでたの。それをすっかり忘れてて。部屋に閉じこもってベッドでごろごろしてるときに、CDかけたらこの曲が流れてきたの」
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