Symphony V
側においてあったバッグに手があたる。バッグからカサッと音がした。


あっ……


中から1枚の紙を取り出す。
今朝、レオンと行ってきた美術展でもらったチラシだ。


…まさか……いやいや……


有名な美術品が盗まれる、ていうことなら、可能性がないわけじゃない。

「もしかして、これ、ヤバくない?」

唯がレオンに見せる。と、キアリーがちらりとチラシを見て小さく呟いた。

「可能性はあるかもな」

ふふっと微笑むキアリー。その表情の意味がわからず、唯は首をかしげた。

「でも、Orthosからの予告はなかったんだろ?」

「お、おる?」

発音が良すぎてレオンの言葉が聞き取れず、思わず聞き返す。

「あぁ…オルトス。美術品を盗んでは返す怪盗だよ」

目をキラキラと輝かせながら答えるレオン。



男の子って、そういうのやっぱし好きなのかな。



唯はくすっと笑った。

「それが、予告状が届いたらしい。さっき、FBIから連絡が来た」

はぁ、とため息混じりにキアリーが答える。


…どこから突っ込んだらいいのかな。


予告状ってマジであんの?

FBIって今言った!?



なんでキアリーに連絡が入るわけ!?



1人、悶々と突っ込みをいれていた。
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