Symphony V
キアリーが家の近くまで送ってくれた。車から降りる前に、レオンと携帯の番号を交換する。

「…また連絡する」

少し寂しそうな顔をするレオンに、唯もこくんと頷いた。

黄色い可愛い車がいなくなるのを見送って、唯はとぼとぼと家へと歩きだす。

と、そのとき、バッグの中で何かが震えた。慌てて中を見てみると、自分の物ではない携帯が入っていた。

「えっ?なんで?そしていつのまに??」

何度かバッグの中を触ったりもしたが、携帯の存在には今の今まで気づいていなかった。

携帯を手に取り、ディスプレイを見てみる。



通知不可能って…



非通知ですらなく、通知不可能。

しかも自分の物ではない携帯で、電話に出るのは少しの躊躇われる。


あれこれ悩んでいるうちに、携帯の震えは止まり、ディスプレイの光りも消えた。

「あっ…」

もしかしたら、携帯の持ち主がかけてきていたのかもしれない。



…次かかってきたら、出ようかな…


そう思うと、唯は携帯をバッグの中に戻した。
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