Symphony V
いたたまれなくなった。
そんなことを思う資格なんてないかも知れない。
そんなこと、思っちゃいけないのかもしれない。

それでも。

どんどん気持ちが沈んで。
悪いほうに悪いほうにと考えていって。


後悔の念が大きくなっていって。
自分をせめたてる。


そんな気持ちが膨らんで。
自分の部屋へと駆け込んだ。

「…なにこれ」

部屋のドアを開けて絶句する。
今朝、部屋を出る時までは、とても片付いているとはいえないまでも、タンスの中身が床に散らばっていたり、本棚に閉まってあった漫画がそこら中にぶちまけられていたり、パソコンも電源が入ったままで、スクリーンセーバーが動きっぱなしになっていた。


家の、ドア。開いてた。


今朝家を最後に出たのは自分だ。
もちろん、両親は共働きで、昼間、家に帰ってくることはない。


お母さん、私が出る前に、出かけたよね。


ドクン、と心臓が音を立てた。


自分の部屋を後にして、隣にある両親の寝室を覗いてみる。



なんともない。




明らかに、自分の部屋だけが荒らされていた。


嫌。なに、これ。



気持ちが悪い。
気味が悪い。


唯は思わず、その場にへたり込んだ。
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