Symphony V
玄関へと戻ると、心配そうな表情の2人が唯を待っていた。

「あ、唯。大丈夫?誰からだった?」

ほっとした表情で里香が聞いてくる。

「あ、うん。昨日知り合った友達からだったんだけど」


2人にこれ以上、迷惑はかけられないよね。


そう思うと、唯はにっこりと笑って、2人に告げた。

「今からこっちに遊びに来るって」

「そっか。唯はもう大丈夫?」

まだ少し心配そうな顔をする里香に、唯は大きく頷いてみせる。

「うん。もう大丈夫。ほんとにごめんね、心配かけちゃって」

すまなそうに言う唯に、里香は首を横にふった。

「ううん。気にしないで。唯が大丈夫ならそれでいいから」

少し苦笑いのようにも取れる笑顔を浮かべながら、里香は言うと、先生の腕を引っ張って玄関を出る。唯も、置いてあったサンダルに履き替えて外に出た。

「ほんとに、何か相談したいこととかあったら、いつでもいいから連絡してね?いい?」

里香に言われて、唯はうん、と頷いた。

里香の優しさに、ちょっぴり気持ちが浮上できた気がする。

「ありがとう」

心のそこから、感謝を込めて。
里香に言った。
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