Symphony V
首にあるものを警官に見せると、唯はポケットに入れていた携帯を取り出し、ぽちぽちっと電話をかけ始めた。
『はい、村儀です』
数回のコール音の後、電話越しに機械的な声が聞こえてきた。
「もしもし、今日、そちらで高遠稜夜先輩のことで伺っていた、東峰ですが」
『はい』
機械的な返事のまま、村儀が言葉を返してくる。
「…紅い蜘蛛について教えていただけませんか」
唯の言葉に、返事はない。
『なぜです』
何かを探るように聞いてくる村儀に、唯は父の首の赤いマークを見ながら答えた。
「両親が殺されました」
『…………』
電話からは何も言葉は聞こえない。
「父の首の部分に、赤い色をした、蜘蛛のマークがありました」
『……足は』
「え?」
村儀の言葉の意味がわからず、聞き返す。
『蜘蛛の足の数は?』
聞かれて唯は刻まれたマークの、足の数を数えた。
「…あれ、6本?」
蜘蛛の足は通常8本。でも、何度数えてみても、6本しかない。
『すぐに行く。場所は』
「え?あっ…」
村儀の反応が唯の中で確証となった。家の住所を伝えると、村儀は短く、わかった、と言って電話を切った。
やり取りを見ていた警官と鑑識は、ぽかんとした顔をしていた。
「すいません、捜査の邪魔をして。出ますね」
唯はパクンと携帯を閉じると、部屋を後にする。
「唯、もういいのか?」
唯の淡白な反応に、レオンは少し驚いた様子だった。唯は何も言わず、ただ、少しだけ微笑んだ。
『はい、村儀です』
数回のコール音の後、電話越しに機械的な声が聞こえてきた。
「もしもし、今日、そちらで高遠稜夜先輩のことで伺っていた、東峰ですが」
『はい』
機械的な返事のまま、村儀が言葉を返してくる。
「…紅い蜘蛛について教えていただけませんか」
唯の言葉に、返事はない。
『なぜです』
何かを探るように聞いてくる村儀に、唯は父の首の赤いマークを見ながら答えた。
「両親が殺されました」
『…………』
電話からは何も言葉は聞こえない。
「父の首の部分に、赤い色をした、蜘蛛のマークがありました」
『……足は』
「え?」
村儀の言葉の意味がわからず、聞き返す。
『蜘蛛の足の数は?』
聞かれて唯は刻まれたマークの、足の数を数えた。
「…あれ、6本?」
蜘蛛の足は通常8本。でも、何度数えてみても、6本しかない。
『すぐに行く。場所は』
「え?あっ…」
村儀の反応が唯の中で確証となった。家の住所を伝えると、村儀は短く、わかった、と言って電話を切った。
やり取りを見ていた警官と鑑識は、ぽかんとした顔をしていた。
「すいません、捜査の邪魔をして。出ますね」
唯はパクンと携帯を閉じると、部屋を後にする。
「唯、もういいのか?」
唯の淡白な反応に、レオンは少し驚いた様子だった。唯は何も言わず、ただ、少しだけ微笑んだ。